35歳でスキルス胃がんになった。その後。

結婚後、不妊に悩み、病院での治療を決心した矢先、35歳でスキルス胃がんになりました。TS-1の副作用により涙道が閉鎖し、常に涙が目からあふれ出ている状態です。

「乱れ」からよみがえるもの

生理が来ない…
体調は明らかに来る前の状態なのだけど、1週間以上遅れている。

子供も作らないし、更年期の問題とかはあるかもしれないけど、私の人生、今後生理なんて必要ないのに、生理周期の「乱れ」に煩わされてしまう自分とそれに伴う過去の悲しい記憶がよみがえってきて、かなり辛い。

子宮内膜症疑惑

子宮内膜症かもしれない』といきつけの婦人科医に言われたのは、がんが発覚した年(2015年)の6月のことだった。
生理周期がおかしい。基礎体温もおかしいし、排卵検査薬もなんだかよく分からない反応で。
背中も腰も痛い。胃がキリキリと痛む日もあったし、もうなんだこれ状態。

すべてが滅茶苦茶で、自分一人では抱えきれないレベルにまで達していた。

このときにはもう自然妊娠は無理で、本格的に不妊治療を受けなければと薄々決心していて、まずはかかりつけ医に生理不順の原因について相談してみようと思った。


かかりつけの婦人科医は70歳近いおじいちゃん先生。
婦人科と内科をやっていて、妊娠初期~中期の検診はしているが、お産などは提携病院を紹介するというような、小さな一軒家のクリニックだ。
自宅からほど近く、おじいちゃん先生の枯れた感じが内診に対する心理的ハードルを下げてくれるので、5年近く通っていた。


若い女の子

2015年の6月にこのクリニックを訪れたときは、かなり精神的にギリギリに弱っている状態だった。

小さな待合室で待っている間、診察室から10代後半くらいの若い女の子がふらふらしながら出てきた。

横目でチラッと、その女の子を見てしまう。
お腹は膨らみはじめ、顔や胸全体がパツパツにはちきれそうになっている。
見るからに、妊娠している。

その女の子は同伴してきた若い男の子(痩せていて髪の毛が長く、ずっと下を向いてスマホをいじっていたので、私は勝手に女性だと思っていた)に「やっぱりできてた。いま15週くらいなんだって。でもここでは出産できないから、別の病院にいげって。」と話してかけていたのを、聞きたくないのに聞いてしまった。

15週まで放っておくのか…と驚愕する。
その後も気になって、その子のことをチラチラと見てしまった。
なぜ神様はこの女の子を母親にして、私を母親にさせてくれなかったのかとそのときは真剣に思って、一人勝手に心の中で泣いた。


misunderstanding

そうこうしているうちに、私は診察室に呼ばれ、超音波で内診を受けた。
その後、診察室でおじいちゃん先生に「うーん。子宮内膜症かもしれないね。念のために血液検査を受けてみる?」と言われた。

聞いたことのある病名だったが、全く自分には無縁のものだと思っていた。
でも、がんとかそういう深刻なものではないのだな…と思い、比較的冷静に受け止められた。

しかし、そのあとに言われた言葉がショックだった。
「あなたの場合すぐに治療しないといけないとか、深刻な状態ではないけど、生理不順の原因にはなると思う。まずは子供作ってみたら?子供作るのが一番いいんだよ」とおじいちゃん先生が忌憚なく言うのだ。

「・・・」

私はなんと返事をしたらいいのか、言葉に詰まった。
生理不順が不妊の原因だと思って、そのことを相談しに来たつもりが、おじいちゃん先生は「生理不順を改善するために妊娠すればいい」という超理論を唱えてきた。
想像していなかった展開に私は戸惑った。

えーと、えーと、私はそんな答えを求めに来たのではないよと必死に頭の中を整理しようとしたが、心の底から悲しみが溢れるように湧いてきた。
待合室の若い女の子の言葉も再び頭の中をよぎる。

最初は心の中のダムでせき止めることができていたものの、次から次へとどんどん悲しみが溢れてきて、「欲しくてもできなかったんです」という言葉だけようやく絞り出したあと、ダムは決壊した。


その後のことはよく覚えていないが、まずは血液検査をして、その結果が分かる1週間後にまた話をしましょうということになった。

処置室に移動して、採血をした。
採血をしてくれたのはいつもいるベテランの看護師さんで、私を落ち着かせるかのように自宅に植えているバラの花や野菜についての話をしてくれた。
話を聞いていると、私と生活圏がほとんど同じだったので、よく行くホームセンターの話などをして、だいぶ気はまぎれた。

待合室に戻るまで、私は必死に心を整えていた。


生理不順からよみがえるもの

生理不順になると、このときの記憶がよみがえる。
おじいちゃん先生に言われたことが悲しいというより、自分一人で抱え込むことが限界地点にきているということをハッキリと認識した出来事で、がんになった苦しみとはまた別の苦しみがそこにはあった。

不妊って恐ろしいなと思う。
自分が想像しているよりもずっと、心の奥底から傷ついていて、私はがんを告知されたときのことを思い出して泣いたことはないが、このときのことは今でも思いだすだけで何度も泣いてしまう。

本格的な不妊治療を始めていない私でさえ、こんなに苦しんだ。
私よりもずっと過酷な状況にいる人のことを思うと…言葉も出ない。



(ここまでが昨日の夜に書いたこと)





※朝起きたら、お腹が痛くて…はい。来ていました!今は朗らかな気持ちです。





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