35歳でスキルス胃がんになった。その後。

35歳でスキルス胃がんになりました。抗ガン剤TS-1の副作用により涙道が閉鎖し、常に涙が目からあふれ出ている状態です。

癌は遺伝する① | がん家系、親子でスキルス胃がんになる

前回の記事にも少し書いたが、私の母もスキルス胃がんに罹患している。


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私が高校生のとき…1995年頃の話だ。
父からは「お母さんはアナウンサーの逸見さんと同じ病気になったからね。でも、手術をすれば治るから」と言われた。

インターネットもまだ発達していない時代。今のように、簡単に病気について調べられるような環境ではない。
だから、私はその病気の深刻さをあまりよく分かっていなかった。父の言葉を全てそのまま飲み込んで、「大丈夫きっと治る」と簡単に信じていた。

毎年受診していた胃がん検診

母は専業主婦だったから、市町村が行っている健康診断やがん検診を毎年必ず受診していた。

母は生まれた時から体が弱く、子供のときには父親(私にとっては祖父)と同じ肺結核を患わっている。親元から離れ、かなり寂しい子供時代を過ごしたようだ。その後、父親は肺結核でなくなってしまったが、母は何とか完治させることができた。終戦直後のことである。

だから、母は人一倍家族の健康に気をつかっている人だった。
父もそうだったが、口癖のように「食事は野菜多め、塩分控えめに、味は薄めに」と言っていた。

子供だから醤油さしの使い方の加減がわからず、私がほうれん草のおひたしにお醤油をかけすぎてしまったときは、「あっーかけすぎ!!」と叱られた。体に悪いからとカップラーメンは年に数回だけ食べられるご馳走となり、マヨネーズはちょっとしか使わせてもらえなかった。シーチキンが浸されてあるオイルは徹底的に省いた。食卓にはいつも新鮮な野菜が溢れていた。

健康維持に少し過剰なくらい敏感になっている家族だった。

ステージ3~4という診断

母のがんは、毎年受けているがん検診で見つかった。
<要再検査>の通知が来て、病院で胃カメラを飲んだところ、がんが見つかった。

母の胃の表面はほとんどきれいな状態で、異変を見逃してしまうかもしれないと言うレベルだったと言う。
しかし検査を受けていくうちに、多臓器転移まで疑われる事態に状況は悪化していく。手術では胃を全摘、そして肝臓を専門とする医師が手術に立ち会うことになった。
医師からはスキルス胃がんのステージ3から4の間と言われていた。(この話は私ががんになってから初めて聞いた)



母の手術の日、私は学校休んだ。
父と兄と姉と姉のご主人の5人で、病院の待合室で母の手術が終わるのを待った。午前中の早い時間に手術室に入って終わったのが夕方近くだったから、7〜8時間はかかっていたと思う。
手術室から意識がなくストレッチャーで運ばれてきた母を見た時はとても不安な気持ちになった。いつも気丈で頼りにしていた母が弱っている姿を見るのが悲しかった。

手術後の母の様子

手術後、母は抗がん剤治療を受けた。
しかしそこで医療ミスが起きてしまった。胸にポートを設置する際、間違って肺を傷つけられてしまい、大量の吐血をした。最初はその原因がわからず、がんの転移かとも疑われたが、結局は担当した医師の初歩的なミスだったということがあとからわかった。

退院してからも、半年近くはほとんど横になっている時間が多かったように思う。
学校から帰ってくると、のそのそと布団から這い出してきて「おかえり」とわざわざ言いに来てくれた母の姿を覚えている。

食事が喉に詰まってしまい、毎食満足に食べられていなかった。
「私は1日5食だから」と明るく母は言ったが、食べてる途中に行って気分が悪くなってトイレに駆け込む姿を何度も見ている。(今思うとダンピングの症状だったのだと思う。)
体重はみるみる減って34キロまでになった。(母はもともと痩せ方で、身長は157センチだった)



ちょうどそんな時、兄が結婚すると言うことで結婚式の打ち合わせ等でバタバタし始めた。母も体調が悪いのに外出することも多くなった。母は「外食だと食べられるのものがほとんどないのよね。」と嘆いていた。
私は子供ながらに、「なんでこのタイミングで兄は結婚するんだろう」と疑問に思った。

その頃の母の口癖は「私は〇〇ちゃん(私)の結婚式は見られないと思う」だった。病気になって弱気になっているのだなと思い、私はその言葉を深刻には受け取らなかったが、今考えると母の本音であったように思う。
「あなたの着物姿を見ておきたいから」と言われ、兄の結婚式では私は振袖を着て記念写真を撮った。
母はその写真を大事そうに何度も何度も見ていた。

そして現在

その後、母は年に数回、定期検診を受けつつ日常生活を取り戻した。
そして、何事もなく5年間は過ぎ去った。

再発、転移は起きなかった。

母は現在76歳。加齢による身体の衰えはあるが、今も元気に過ごしている。
私の結婚式にも出席したし、昨年は孫の結婚式にも出席した。



『あのね、医者の言うことなんて、信じちゃダメなの。あの人たちは最悪の事態を想定するのが仕事だから。全部真に受けなくていいの。あなたは私に比べて、全然なんともないよ。絶対に大丈夫だから!!』

母と電話で話すたびに、こうやって私を勇気づけてくれる。
苦しいとき、いつもすがってしまう言葉である。



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